ケミカルフリーパターニングが製造業で重要になる理由
タッチパネルなどの製造工程では、微細なパターンを形成するためにフォトリソ工程が使われています。フォトリソ工程は高精度な加工に適した方法ですが、現像、エッチング、洗浄といった複数の工程を伴うため、化学廃液や洗浄廃水への対応が必要になります。
こうした工程の一部をレーザーによる直接パターニングへ置き換えることができれば、薬液を使う工程を減らし、廃液処理や廃水処理の負担を抑えられる可能性があります。
ただし、レーザーを導入すれば自動的に工程が成立するわけではありません。重要なのは、対象材料や求められる品質に合わせて、量産工程として成立するプロセスを設計することです。
ケミカルフリーパターニングが求められる背景:フォトリソ工程の廃液・廃水負荷
従来のフォトリソ工程では、パターン形成のために薬液を使う工程が発生します。たとえば、不要な膜を取り除くエッチング工程では金属を含む廃液が発生し、現像工程では現像液の処理が必要になります。さらに、各工程の前後には洗浄が必要になるため、洗浄廃水への対応も欠かせません。
タッチパネルのように複数の層を形成する製造プロセスでは、こうした工程が繰り返されます。その結果、廃液処理、廃水処理、薬液管理、洗浄設備の負担が大きくなります。
レーザーパターニングは、対象材料にレーザーを直接照射し、不要な部分を除去する加工方法です。工程設計が成立すれば、現像やエッチングなどの薬液工程を減らし、化学廃液の発生を抑えることができます。
Quantecの検討例では、タッチパネル製造工程において、レーザーパターニングにより対象工程の化学廃液をなくし、洗浄回数を5回から2回へ削減する構成を設計しています。
廃液削減は、工場の立ち上げや操業条件にも関わる
ケミカルフリー化の価値は、廃液量を減らすことだけではありません。
化学廃液や廃水が多く発生する工場では、排水処理設備や薬液管理体制が必要になります。地域によっては、環境負荷の大きさが工場の設立許可や操業条件に影響することもあります。
そのため、ケミカルフリーパターニングは単なる環境対応ではありません。廃水処理設備をどこまで簡素化できるか、薬液管理の負担をどこまで減らせるか、工程数をどこまで抑えられるかといった、製造経済性にも関わるテーマです。
製造業における環境対応は、理念だけでは普及しません。量産現場で採用されるためには、環境負荷を下げるだけでなく、工場の立ち上げや操業を現実的にする工程設計が必要です。
レーザーへの置き換えは、装置導入だけでは成立しない
一方で、レーザーを使えば既存工程をそのまま置き換えられるわけではありません。
同じパターニングであっても、対象がガラスなのか、フィルムなのか、透明導電膜なのかによって、材料の反応は変わります。膜の厚みや積層構造が変われば、必要なレーザー条件も変わります。
また、量産工程では、きれいに加工できるだけでは不十分です。広い面積を安定して加工できるか、加工の継ぎ目で品質が乱れないか、熱影響による焼けや変色が起きないか、量産に必要な速度を満たせるかまで確認する必要があります。
つまり、レーザーパターニングの導入可否は、装置の出力や仕様だけでは判断できません。材料がどのように反応するかを確認し、その反応を量産工程として安定させる設計が必要になります。
材料と量産要求から逆算した事前検証が重要
ケミカルフリーパターニングを検討する際には、まず対象材料でレーザー加工が成立するかを確認する必要があります。そのうえで、必要な加工品質、加工面積、生産速度、後工程との接続条件を踏まえ、量産工程として成立する条件範囲を設計します。
この検証を行わずに装置だけを導入すると、加工品質は出てもタクトが合わない、広い面積では品質が安定しない、後工程で不良が発生するといった問題が起こり得ます。
Quantecでは、対象材料に応じたレーザー条件の検証から、量産導入を見据えたプロセス設計までご相談いただけます。
大面積3Dレーザーマーカー PICTURAと経済的に成立するサステナブル製造もあわせてご覧ください。